イベントレポート「WEB TOUCH MEETING in OKINAWA  vol.2」

2018.04.16

2018年4月7日(土)に久茂地のOkinawa Dialogで開催された「WEB TOUCH MEETING in OKINAWA  vol.2」を取材させて頂きました。


WEB TOUCH MEETING(ウェブ・タッチ・ミーティングとは?)

CSS Nite広島版の実行委員長も務めた広島のクリエイター「藤本 勝己 (アイ・エー・アイ)」さんが立ち上げたWEB、IT周りの勉強会。

 

ウェブ周りの技術や知識に関して、自分は知っている当たり前の事が、他の分野の人にとっては「聞きたい話」だったり、「役にたつ話」なのかもしれない!

 

という事で・・・

 

まずはそういった触りの部分を話して、お互いに伝えあいましょうという気軽な会です。

 

広島で9年間継続。100回で一旦幕を下ろし、沖縄という新たな舞台で展開される事になりました。

沖縄での主催は「株式会社シャイン」となります。

 

主催の株式会社シャイン CEO 木村 晋次 氏

 

イベントのスタイル

WEB業界もしくはWEBに絡む話が出来る有志のメンバー(4名〜6名)が30分程度のプレゼンテーションを行い、参加者に共有。

 

参加費は無料、誰でも自由参加で、プレゼンタイムの後はそのまま懇親会も実施するというスタイルです。

 

実際、WEB業界の人ばかりでなく、WEBやITを活用したい、単純に面白そうだから話を聞いてみたいという様々な業種や年代の方が参加されています。


「WEB TOUCH MEETING in OKINAWA  vol.2」
当日のプレゼン内容ラインナップ

【1】ITと「伝える」の大切さを考える今日、この頃。

障害者サポートステーションあるてぃー 職業指導員
Jimdo エヴァンジェリスト

上野正人さん/沖縄


【2】個性的な視点とファクトを重視したライティング。Webで発信すると何が起こるのか

沖縄と埼玉でデュアルライフ!Webに強いフリーライター
みやねえ(miya-nee)/沖縄

 

【3】エンジニア歴1年の新人がアジャイル開発から見えたこと

クオリサイトテクノロジーズ株式会社 開発エンジニア
椎谷 菜摘/沖縄


【4】Google Homeを日常に取り組んでみた

サイオンコミュニケーションズ株式会社/サーバーエンジニア
喜屋武 秀昭/沖縄


【5】WEB TOUCH MEETING歴2ヶ月の三十路がスタートアップを目論んで見えてきたこと

沖縄科学技術振興センター 研究員
棚原 生磨/沖縄

 

プレゼンター#001

ITと「伝える」の大切さを考える今日、この頃。

障害者サポートステーションあるてぃー 職業指導員
Jimdo エヴァンジェリスト
上野正人さん/沖縄

 

福祉作業所でパソコン講師として、障がいを持つ訓練生の訓練と支援を行っている上野さんはホームページ作成サービスJimdoのEvangelist(エヴァンジェリスト=ITサービスを分かりやすく伝え啓蒙する伝道師)でもあります。

 

また、沖縄に1つしかないJimdoCafeを運営するなど、WEBやホームページを活用したい初心者向けのサポート活動を精力的に行っています。

 


そんな上野さんが日々の仕事の中で感じた事・・・


それは、ITがどれだけ進んでも「伝える」ことは無くならないという事。

 

そして「ICT」や「IoT」等の技術が進んでいる今だからこそ、「伝える」こと、「伝える」技術を磨いておく事が重要になってくるという事でした。

 


上野さんのプレゼンの中で印象的だったのは「伝える」と「伝わる」は違うという事。

 

伝える
一方的でしかなく、ただの行為

 

伝わる
「理解してもらう」、「納得してもらう」という相手のリアクションを伴う双方向の情報伝達、つまりはコミュニケーション


ITや便利なコミュニケーションツールが発達した現在でも

 

  • 日常的なおしゃべり
  • 感謝を伝える
  • 抗議する
  • 頼み事をする
  • 重大な事柄を報告する
  • 悩みを打ち明ける
  • 謝罪する

 

といった会話は、メールやSNS、電話ではなく

 

「対面での会話」で行いたいと考える人が大半であるという「アンケート調査結果」も紹介されました。

 

 

一方で、文章を書く事が好きではない、もしくは苦手意識を持っている人が非常に多いというデータにも触れ、「伝わる」会話をするためには普段の意識が重要になる事も教えてくれました。

 

それは

 

  1. たくさんの会話が経験や感動を積み、感受性を磨く
  2. 書くことに正解を求めない⇒自然と書くことが習慣化する

 

という事。

 

 

「書く」と聞くとレポート・作文的な文章やブログ等をイメージする人が多いと思いますが、「文章を作る=作文」という意味では、メールやLINEのやり取り、SNSの投稿、コメント等も「書く」ことの一部ですよね。

 

活字離れという言葉もよく耳にしますが、上記のようなネット上の作文も含めて考えると、実際は昔よりも書く機会や、書く(or 打つ)文字量は増えているんです。

 

だからこそ、「伝える」のではなく「伝わる」会話をする、「伝わる」文章を書くために普段から会話の質や、書くことを意識し、コミュニケーション力をあげていく必要があるという事を教えられました。

 

プレゼンター#002

個性的な視点とファクトを重視したライティング。Webで発信すると何が起こるのか

沖縄と埼玉でデュアルライフ!Webに強いフリーライター
みやねえ(miya-nee)/沖縄

 

おしゃべり好きが高じてラジオパーソナリティも務めているという「みやねえ(miya-nee)」さんは、県内外から仕事の依頼が殺到する実力派のフリーライター。

 

Web制作現場に3年いた事もあり、「Webに強い」という特徴も持っています。

 

ただ、やはり一番の特徴はそのお喋りで、トークはもちろん、参加者への呼びかけやプレゼンの強弱の付け方など、参加者との一体感を生み出すトーク力、進行はさすがでした。

 

みやねえさんのプレゼンでは

 

「なぜフェイクニュースが作られてしまうのか?」という切り口から

 

  1. 参考にする情報源を精査する事の大切さ
  2. 検証(事実確認)の大切さ
  3. 思い込み=主観(個人の感想)を中心に文章を展開してはいけない

 

という点が挙げられ

 

 

特に3の「主観」が入る事で、事実とは異なる情報が入りやすくなる危険性について語られました。

 

「事実=客観」であり、正確な情報が必要です。

ただし、客観だけで淡々と記事を書くと面白みの無い文章になってしまいます。

 

ライターの仕事として「個人的な視点」を入れられるかどうかは、メディアのカラーやポリシーにもよるものの

 

ライター(書き手)の個性が出ると「記事に面白みが出て」、他にはないオリジナルな記事になります。

 

伝わる文章、人を惹きつけアクション(ネット上での反応や、購入、申込み、来店 etc.)を起こす事ができる文章を書くためには、主観だけでもダメ、客観だけでもダメ。

 

要は、主観(独自の視点)を入れた面白みのある記事を書くためにも「ファクト(事実)の部分を重視」して記事を書く事が何より大切であると教えられました。

 

 

実際のプレゼンでは、ファクトを掴むためにはどうすべきか?という点や、独自の視点を入れた上で更に反響を起こすためのライティングのテクニックなどが語られ、どれも実際の経験に基づく説得力のある内容でした。

 

あまり講座的な内容を細かく記載するわけにもいかないので、ライティングのテクニックを学びたい方は、みやねえさんの講座を受けていただくか、実際の文章を見てみるのが一番だと思います。

 

 

「沖縄 フリーライター」で検索すると、みやねえさんのブログが1位〜2位辺りに出てきますし、「沖縄 miya-nee」と検索すると様々なメディアに掲載されている記事が出てきますよ♪

 

プレゼンター#003

エンジニア歴1年の新人がアジャイル開発から見えたこと

クオリサイトテクノロジーズ株式会社 開発エンジニア
椎谷 菜摘/沖縄

 

椎谷さんは社会人歴1年、開発歴1年の新人エンジニア。

しかも開発知識の基礎が無いまっさらな状態で業界に飛び込んだというから驚きです。

 

そんな彼女からのプレゼンテーマは「アジャイル開発」から得た気づきについて。

 

「アジャイル」という用語だけ聞くと、WEBに携わっている人でさえ「?」が浮かぶので、WEBに苦手意識がある方は、言葉だけで逃げてしまうかも知れませんね(笑)

 

でも、彼女の話は万人が聞く価値のある素晴らしいものでした!!

 

語られたのは技術の話ではなく、クライアントの満足度を最大化するための「プロジェクトの進行の在り方」、「チームの在り方」についてです。

 

そして、万人に分かりやすくなるように、「開発とクライアントへの提案・納品」を「ケーキ作り」に例えて解説してくれました。

 

 

イベント当日「伝えるではなく、伝わる」を誰よりも真摯に実践して体現してくれたのが彼女で、誠意のあるプレゼンには好感しかありませんでした。

 

専門的な用語はあまり気にせず読んで欲しいのですが・・・

 

従来のシステム開発は「ウォーターフォールモデル」と呼ばれ、最初にヒアリングした要望で設計したシステムを数ヶ月、場合によっては1年以上もかけて開発し、クライアントに納品するという方式。

 

一方、「アジャイル開発モデル」は1週間、2週間という短いスパンで「計画⇒実装⇒テスト⇒リリース」のサイクルを回し、「最低限のベース+優先度の高い機能」のみでスピーディーにリリースまで行い、実際に運用を始めてから見えてくる改善点や、利用者からのレスポンスも踏まえて開発・改善を続けていく方式です。

 

ケーキ作りに例えると、従来のウォーターフォールでは最初に聞いた要望通りのものを指定の日時に納品するだけなので

 

  • 想像してたものと味と違う、見た目が違う・・。
  • 途中で要望が変わったんだけど、反映できなかった・・。
    (半年前に予約したけど、今はマカロンが流行ってるし、カラフルなマカロンを乗せたかった etc.)

 

という可能性も有ります。

 

要は納品した時点の成果物で満足度が決定してしまうという事。

 

一方で、アジャイルの方は

 

ケーキの要望を聞いて2週間後に試作品を提示。

依頼者の感想や追加要望を踏まえて(作り手からの提案もする)、さらに2週間後に試作品を提示。

 

 

そのサイクルを繰り返し、納得のいくケーキに仕上げるというイメージです。

 

後者の場合、徐々にクライアントの満足度を高めていけるだけではなく、実際の反応を得ながら、ニーズの変化、市場の変化を捉えて柔軟な対応が出来るという点も魅力で

 

結果的にユーザーのニーズに最大限応えられるモデルとして注目が集まっています。

 

これは、システム開発に限らず様々なサービス、顧客とのコミュニケーションにも当てはめられる考え方だと思います。

特に社会の変化や、ニーズの変化が激しい今の時代にスゴく合っていますよね。

 

1年かけて構想し、1年かけて制作すると、世に発表できるのは2年後です。

よっぽど普遍的なニーズを捉えた内容でないと、時代遅れになっている可能性は非常に高いです。

 

でも、アジャイル開発のような考え方なら、数週間でニーズに合ったものをリリースし、ニーズの変化に合わせて育てていけます。

 

 

  • 変化に強く、発展性のあるサービス提供の方法
  • 事業の立場に立って、当事者意識を持って商品・サービスの作り込みを行う事の重要性

 

に気づかせてくれるアジャイル開発モデルの話は、開発だけでなく他の様々な事に応用して考えられる非常に有益な内容でした。

 

プレゼンター#004

Google Homeを日常に取り組んでみた

サイオンコミュニケーションズ株式会社/サーバーエンジニア
喜屋武 秀昭/沖縄

 

4番手で登壇したのはサーバーエンジニアの喜屋武さん。

 

Google HomeというとTVCMで「OK,Google.」と呼びかけているアレですね。

 

「OK,Google.TVをつけて」

「OK,Google.音楽を流して」

 

などと呼びかけると、声だけで依頼した操作を処理してくれるというツールです。

 

第一回目のWEB TOUCH MEETINGで、主催の株式会社シャイン木村 晋次さんが「Google Homeを介護現場で活用する」という内容プレゼンを行い、そのプレゼンに刺激をうけた喜屋武さんは、即日Google Homeを購入。

 

「Google Homeを日常に取り込んだらどうなるか?」という視点で様々な実験を行い、2回目のWEB TOUCHで発表してくれました。


こういった技術の話になると、例えば家に帰る前に予めエアコンをつけておこうとか、炊飯器でご飯を炊こうとか、スマート家電と呼ばれるものと連携するイメージを持つ人も多いと思います。

 

Google Homeの場合だと、その命令を声で行えるという事ですね。

 

 

そしてスマート家電との連携だけでなく、アイデア次第で様々な活用法が生まれます。

 

本当にアイデア次第なんです。

 

喜屋武さんが紹介してくれたGoogle Homeの活用方法の一つが、Googleカレンダーに自動でスケジュール登録して、さらにそれを予定時間の数時間前にアラートとしてLINEに通知メッセージを送るというもの。

 


喜屋武「OK Google  2018年4月7日の18時 WEB TOUCH MEETINGで予定を入れて」

 

Google Home「WEB TOUCH MEETING 土曜日 18時ですね。追加しますか?」

 

喜屋武「はい」

 

Google Home「カレンダーに追加しました」

 

という流れで、Googleカレンダーに予定が追加されます。

 

この先はIFTTTというサービス間の連携ツールを動作させる必要があるのですが、IFTTTを利用すると、「この条件の時に」「このサービスから、このサービスに」「こういう動作をして」という命令を出す事ができます。

 

つまり

 

「Googleカレンダーの予定時刻◯◯時間前になったら」「LINEに」「予定の通知を送って」という条件を設定しておけば、今後、Google Homeに音声で登録した予定は、リマインダー的にLINEのアラート通知が受け取れるようになる

 

という事が実現できるわけです。


Google Home単体では活用用途は限られますが、他のツールやサービスと連携する発想を持てば一気に可能性が拡がるんです。

 

 

また、OK Googleの後に「この言葉を言えば、この動作」というオリジナル設定もできるので、サプライズにも使えたりしそうですよね。

 

サプライズの当日だけ「OK Google TVをつけて」と言えば、ハッピーバースデーの曲が流れる設定にしておくとか、ちょっと素敵な使い方も♪

 

プレゼンター#005

WEB TOUCH MEETING歴2ヶ月の三十路がスタートアップを目論んで見えてきたこと

沖縄科学技術振興センター 研究員
棚原 生磨/沖縄


ラストのプレゼンター棚原さんは、沖縄科学技術振興センターの研究員でありながら、スタートアップ(起業)を目論んでいるという事で、どんなプレゼンになるのか興味津々でした。


棚原さんが目をつけたもの、それは・・・

 

ズバリ!運転代行

 

沖縄の運転代行の事業者は全国で最も多く、2位のエリアと比較しても2倍以上有ります。

 

推定される市場規模はあくまで試算とはいえ、20億円以上。

非常に可能性のある分野だと言えますよね。

 

そして、棚原さんの事業テーマがコチラ。

 

IotとAIを用いた運転代行業支援システムの開発と事業化

 

車社会の沖縄では運転代行を利用する機会も多いものの、一般的な運転代行業に対してのイメージは

 

  • 来るのが遅い
  • 運転が荒い、怖い
  • 料金が不明瞭

 

など、ネガティブな意見も多いのが実際。

 

 

運転代行サービス全体の質が上がらないのには

 

  • 業務の非効率性
  • 市場の非効率性
  • 行政の限界

 

等の課題があり

 

「利用者により安全・安心な運転代行業を提供したい」という棚原さんのビジョンを実現する上で

 

  1. 実態の把握と情報公開
  2. 業務支援システムの構築
  3. 上記の解決策を内包したプラットフォームサービスにより市場の効率化・適正化を行う
  4. 運転代行業者に影響力を持つ組織作り

 

といった解決策を推進していく必要があります。


プレゼンでは具体的な内容も示されましたが、実情として「A」の実態の把握が中々難しいという課題も大きく、同じビジョンを共有できる仲間、コミュニティを作る必要性も語られました。

 

その中で、棚原さんが取った行動は、WEB TOUCHの元祖立ち上げ人でもある藤本 勝己さんのプレゼン内容に習って

 

「SNSを使って同じ分野の人にメッセージを送りまくる」という事。

 

 

その結果、全国の運転代行協会との繋がりを構築する事に成功し、同じ課題と向き合える仲間、生の情報やアドバイスを得られる現場サイドの人とのコミュニティの足掛かりを作る事ができたそうです。

 

シンプルだけど、非常に現実的で、効果のある動きですよね♪

 

そして、現在は琉球大学 工学部の教授と棚原さんが代表を務めるAlpaca.Lab(仮称)の産学連携チームを、公益財団法人 全国運転代行協会 沖縄支部がアシストするというまでの体制を構築。

 

前回1月に行われたWEB TOUCH MEETINGの時期から動き出し、僅か2ヶ月程の期間でここまでの体制を作り上げたのだから、その行動力と実行力は感嘆に値しますよね!

 

 

プレゼンの最後には、現在足りないリソースを埋めてくれる協力者、支援者を募る呼びかけも有りました。

仲間づくり、キッカケ作りの場になるのもWEB TOUCH MEETINNGの良いところですね♪

 

ラストはWEBの触りというよりも、具体的なビジネスプランの構築と実行の進捗レポートのような要素もあり、これまでのプレゼンターの方とはまた違った毛色で面白かったです。


という訳で、以上で、5名のプレゼンテーションが終了。

 

読んでいただくと分かる通り、各プレゼン内容に個性が有り、テーマや切り口も様々なのですが、そこがWEB TOUCHの醍醐味でもあると感じました。


当日、懇親会も同会場でそのまま行われたのですが、熱気があり、活発な交流が行われました。

 


プレゼンターの方も、参加者の方も「より良くしよう!」というポジティブなマインドを持った方々が揃い、大きな盛り上がりを見せたWEB TOUCH MEETING in OKINAWA  vol.2

 

今後、益々パワーアップしていくイメージしか持てません。

次回は、取材に関係なく、毎回参加しようと思っています。


今回の参加者の方もそうでしたが、WEB、ITに関連したお仕事をされていない方でも、非常に楽しく、学び・気づき満載のイベントなので、是非気軽に飛び込んでみて下さい!

 

次回は2018年6月に開催予定という事で、日時が確定したら当サイトでも案内させて頂きます。

 

WEB TOUCH MEETING in OKINAWA vol.2

主催:株式会社シャイン

会場:Okinawa Dialog(那覇市久茂地)

 

取材・撮影・執筆:黒瀬 圭
(Dream voice ryukyu)
 

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